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【観劇】君が人生の時/新国立劇場 中劇場

こんにちは、yucaです。

坂本くん主演の『君が人生の時』観て参りました。
徒然に感想をば。
ただただ書き連ねてます。
考察だったり、
ライターのように上手く書いてらっしゃる方のそれとは
本当に天と地の差でございます。
ご了承くださいませ。
また、役名もあやふやだったりします。
これも本当にごめんなさい。
この作品を通して伝えたいのは…とはまとめられなかった 笑

その前にあらすじなどを以下から。
君が人生の時 | 新国立劇場 演劇





ここからはネタバレあるかも。
ご注意下さいませ。
ちなみに個人的には前情報なしで観た方が良いと思います。







日常の一幕から垣間見る時代の変化

基本的に何も起きません。
とある港町のとある1日を切り取ったような感じ。
定点カメラ置いといて撮影したみたいな。
本当に日常。
撮れ高あんまないっすね〜ってなるような日常。
何も起こらない中、終盤に起こる事件。
ガラリと日常が変わる。
でも、事件もとある出来事でピタッと終息し、
人々はみんな日常に帰っていく…

この後、歴史は大きく動く。
その影はどことなく感じる。
大きくなる不安。
でも、何も起こらない、純粋に日常。
だから怖い。
どこか、怖い。

ところどころ現代劇に見えたんですよね。
夢を追い求めるところ、
自分は何者なのか問うところ。
ずっと登場人物の誰かしらは問うてたなあ。
結局何者なのか、
何を成し遂げるのか、
そんなところまで考える内容。
仕事を探してたり、
自分の信念を貫く行動をしてたり、
いろんな形、いろんな術で
登場人物は自分と向き合い続けてた。
そんなところが今の時代となんとなく被る。
自分への不満、
自分を取り巻く環境への不満と不安、
政治への不安、
時代への不安。
その結果、混沌。
時代の境目には起こることなんでしょうか。
今もどことなく、世界が変わりゆく、
そんな空気の流れを感じますよね。
頭のいい学者先生のように
専門用語で言語化はできないのだけど。
変わりゆくものへの不安。
自分がどうなるか見通しが効かないことへの不安。
だから、自分は何なのか?
だから、自分の居場所はどこなのか?
それを問い続ける人たち。
今の時代もたくさんいますよね。
かく言う私も最近ずっと悩んでるし。

でも。この後。
大戦が始まってるんだよなあ。
ぞぞぞぞ。
今がそうならないことを願う。


どうしてみんなモメるんだろう?

劇中で一番印象に残った台詞で、
上記の台詞があります。
警官が言います。

良い時代なのにどうしてモメるんだろう?

と。
この台詞、私的この作品の主題です。

これ、今の時代にも言えることな気がする。
この台詞も現代劇に見える一因でしょうね。
でも、良い時代の定義って何だ?
とも思うわけですよ。
実際、劇の時代はこの後に大戦が起きてしまう。
それは良い時代?
私達から見たら明らかに答えはNo。
だけど、私達の時代にも言えることなわけで。
たぶん、今幼い子供達が大人になった時に
私達が見てる今が良いとは限らないし、
もっともっと未来から見たら余計にです。更にです。
きっとそれを繰り返して人間は進化していくんでしょう。
それが本当に進んでいるかどうかは別として。

劇中では何人もの登場人物が理想を話す場があります。
キティは大女優になって送る豊かな暮らしに憧れていたし、
トムはキティと夫婦になって幸せを築きたがってたし、
コメディアンはみんなを笑わせたがってた。
マッカーシーも、警官も、ブリックだって。
みんな、
良い時代、
良い暮らし、
幸せな人生を求めてる。
形はどうであれ。
それぞれの形が少しづつ違うのは当然なんだけど、
それが原因でモメ事が起こってしまうんだよね。

何もないことを切り取った作品の中で、
この違いを使って上手いこと動きが出来てた。
味わい深い混沌を作り出していた。
いろんな人のいろんな人生が切り取られて、
1つのモザイク画を作っているような、
混沌としていて個々が混ざり合ってる。
劇の後もそれぞれの人生は続いてくんだろう。
リアルに感じた。

今とズレた時代を扱った作品て、
登場人物の人生を思う一方で
どこかファンタジーチックに思って終わっちゃう。
だけど、今作はすごくリアルに"その後"を感じた。
背後に大戦があるからかもしれないけど、
なんとなく今と似てるっていうことが大きいんだろうなと思います。


ジョーの存在〜坂本昌行さんの佇まい

結論、ジョーは誰でもあって誰でもない。
そう思ったんですね。
では、ジョーの人生はどうなんだろう。
そもそも続いたのかな。

彼だけ、現実感がなかったんです。
例えるなら世にも奇妙な物語タモリさんみたいで。
他とはどこか浮いた、
切り取られた存在のような感じ。
ジョーは何を背負ってたんだろう。

ジョーの去り際の背中には、
郷愁
哀愁
どこかセピア色の空気が広がって見えました。
どうか彼も幸せを見つけますように、
と願わずにはいられなかった。
そんなラストでした。

だけど、さっきも話した通り、
どこかストーリーテラーのように見えて、
そこに存在しているんだけど、
決定的に何かが他の登場人物とは違った。
どこだろう。

ジョーは、自分のことは話さなかった。

詳しいことは一切。

生い立ち、仕事、夢。一切。

登場人物は誰一人としてジョーが何者なのか知らない。
だけど、不思議な信頼感と安心感でそこに存在してる。
自然と周囲は認めている。

誰かがTwitterで仰っていたのだけど、
演出家と俳優によって、
ジョーという役はかなり変わると思う。
一切自分のことを明かさないから、
どうにでも書けるんですよね。
今作のジョーは演出家と坂本くんが生み出した、
完全オリジナルのジョーなのだと思う。

確かにあのジョー
坂本くんの声、仕草、佇まい
細かいディテールはもちろんなんだけど、
スタイルだとか顔の生まれ持ったものからも成り立ってた。
あれは、坂本くんのジョー
坂本くんの物になってました。

岡田くんかなあ、前に言ってたのだけど、
アイドルであることで、
演技をするときに遠慮をする
というか、そんな趣旨のことを。
アイドルって世間からの見方も特殊だし、
ファンの存在そのものも特殊だから、
どう見てもフィルターかかってしまうのですよね。
世間は"どうせアイドル"って。
ファンは自担可愛さで。

そう言った特殊なフィルターなしで観た人も
坂本昌行という俳優が純粋に映ったんじゃないかなあ。
今作は坂本くんの代表作になって良いと思う。
ミュージカルスター マサさんの代表作は昨年のMfTだけど。
俳優としてのキャリア、
俳優としてのビジョンがぐんと広がったんじゃないでしょうか。
演劇ファンの方に今作の坂本くん観ていただきたいな。





と、まあ長々と徒然に書かせていただきました。
完全走り書きなので立派なものではないですが。
純粋に俳優としての坂本くんを観たと言っておきながら、
最後は坂本くんについて語って終わってるあたり、
やはり私はアイドルのファンなのでしょう(苦笑)
演劇の世界に生きる人の劇評を読んでみようかなあ。
良いものがあったら是非教えてください。
俳優 坂本昌行がどう見えたのか知りたい。

そしてそして、個人的には坂本くんだけでなく、
木場勝己さんを拝見できたことが嬉しかったです。
こちらのブログで言及したことはないけど、
TEAM NACSもすごく好きでして、
安田顕さんが出演されてた『小さな巨人』を見てたんですね。
それに木場さんも出てらして。
主人公 香坂さんのお父様役でキーパーソンでした。
とても重厚感溢れる役だったので、
今作では全く違う一面を見れて良かった。
どちらかと言えばコメディリリーフでしたからね。
必要以上に今作が重たーく暗ーくならなかったのは、
木場さんの力によるものが大きかったはずです。
登場は比較的後半なんですが、
一人でどれだけ場内を沸かしてらしたろう。
出てきた瞬間に木場さんのターンでした。
良い俳優さんってこういうことですね。


さて、本当に長くなってしまった。
次の観劇は来月のOOPARTSです。
初なので楽しみ。
それまでの間も身体のこととか徒然に書いていきます。
どうぞ、お付き合いください。